日常的に使うお皿やコップ・花瓶など、気づかないうちに触れている焼き物。普段はあまり意識していなくても、焼き物に触れる機会は多いものです。
焼き物と言われる和食器は、日本全国に様々な種類があり、どの焼き物も個性豊かで見ていて飽きることがありません。
「八戸焼って何?あまり聞いたことがない」という人も多いかもしれません。
八戸焼は江戸時代末に一度廃れてしまい、昭和50年に再興された知る人ぞ知る焼き物だからです。
この記事では、一時は幻の焼き物と言われた八戸焼について紹介したいと思います。
八戸焼とは
青森県公式ページ
どこで作られている?
八戸焼は、青森県の八戸市で焼かれている焼き物です。
八戸市は青森県東部の太平洋に面した市で、自然豊かな山と大きな河川が市内を流れる海産物が美味しいことでも知られています。
八戸焼の歴史
江戸時代末期まで、ひっそりと八戸の蟹沢山で焼かれていた焼き物です。民窯(庶民の為の焼き物)として親しまれていたと言われています。
同じ青森県の焼き物では、弘前藩主の御用達品であった津軽焼が有名ですが、津軽焼とは正反対で親しみやすい日常的なものを多く作っていました。
しかし、江戸時代末期を過ぎ明治時代になると廃れてしまい、八戸焼は忘れられた幻の焼き物になってしまいます。
八戸焼の再興
八戸焼が再び脚光を浴びたのは昭和50年です。
新潟県佐渡市で作られている無名異焼(むみょういやき)の渡辺昭山さんの手によって再興されました。「かつて、八戸焼というものがあった」というわずかに記された過去の文献をもとに、地元の人たちへの聞き込み、窯があったとされる蟹沢山を発掘。破片を採掘して破片を集めたそうです。
藩御用達品ではなく、庶民が日常的に使っていたため残っている完成品は年月が経つうちに失われていました。
焼き物を作った際、職人が失敗作と判断したものを割って埋めてしまいますが、渡辺さんは埋められていた破片を集めて八戸焼を調べ、試行錯誤を繰り返して復興させたのです。
八戸焼の特徴
使っている土
八戸市内で採取される粘土を使い、制作されています。
作成手順
成形⇒乾燥⇒素焼き⇒上ぐすりかけ⇒本焼きの手順で完成します。
主に作られている製品
食器・酒器・花器・茶器など、使いやすい日常的なものを中心に制作されています。注文によっては大型の焼き物を制作することもあります。
特徴
八戸焼は、緑色に特徴があると言われています。
緑釉(りょくゆう)と呼ばれる緑色を呈発する釉薬を使い、独自の色味で焼き上げています。
緑釉は鉛を溶媒にしており、呈色剤の銅の酸化で緑色を出します。銅の酸化量で濃淡が生まれ、緑釉を使う焼き物はこの濃淡を使い分けています。
八戸焼の緑色は、八戸の蟹沢山の緑や海の海藻を表現した緑色をしており、とても深みのある温かい印象を持った焼き物です。自然豊かな八戸の雰囲気を写し取ったような印象もあります。艶があり、存在感がありながら日常使いにぴったりな自然な風合いを兼ね備えている不思議と惹かれる魅力が特徴です。
平成8年3月には青森県の県伝統工芸品にも指定されました。マスコミにもたびたび紹介されており、近年特に注目を集めています。
八戸焼の窯元・作家
八戸焼昭山窯・渡辺陶房
所在地:〒039-1108 青森県八戸市上野上野平33−6
電 話:0178-23-4020
FAX:0178⁻23-4020
メール:glaze@gray.plala.or.jp
H P : http://www8.plala.or.jp/theclayman/index.html
概要
八戸焼を復興させた渡辺昭山さんが開いた窯です。
渡辺昭山さんは2000年(平成12年)に亡くなりましたが、後を息子の渡辺真樹さんが2代目として継いでいます。
作陶体験について
電動ろくろ体験や陶芸教室を行っており、サッカー元日本代表の中田英寿さんも体験したことでファンの間でひそかに有名になりました。
丼や茶碗、湯のみ・花瓶・盛り鉢などを作ることができる作陶体験は、作りたいものを相談しながら自由に制作することができるのも人気の理由のひとつ。
受け取りには3か月(繁忙期は4か月)かかり、完成後に受け取りに行くか、送ってもらうことが可能です。
お土産として買うには?
お土産として販売しているところは窯元の他、
・星野リゾート青森屋
・カネイリミュージアムショップはっち1F
・おんであんせユートリーおみやげショップ
・八食センター案内所お土産売り場
で買うことができます。(窯元HPより抜粋)
そのほか、インターネットの楽天市場などで見かけることがありますがオフィシャルショップではないため注意が必要です。
まとめ
以上、幻の焼き物八戸焼についてご紹介してきました。
密かに人気が高まり、知る人ぞ知る八戸焼をぜひ一度手に取って温かな魅力を感じてみてください。