金継ぎを依頼した場合の料金相場はどれくらい?高くなるのはどんなとき?

大切な食器や思い入れのある器が使っているうちに破損してしまうことはしばしばあるものです。
なんとか直せないか、と希望される方には、金継ぎによる修理がおすすめです。

しかし、金継ぎは職人の手仕事のため「料金がよく分からない」「すごく高いのでは?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。

実は金継ぎの料金は、工房にもよりますがある程度基準があり、おおよその料金は推測することができます。
今回は、金継ぎの料金や相場について詳しく紹介していきます。

金継ぎの相場や料金体系は?

金継ぎを依頼する際は何を基準に、どの程度の料金がかかるのでしょうか。相場と料金体系を詳しく見てみましょう。

金継ぎの料金の決まり方

金継ぎの料金は「基本の作業料金+仕上げ料金」という形でおおむね決まっています。
例えば

4cmのヒビ一か所分の修理(基本料金)+金消粉仕上げ(仕上げ料金)

といった形で合計料金が算出されます。
基本の修理料金をおもに左右するのは、破損の種類(ヒビ・欠け・割れ)と破損箇所の数・サイズです。

最終的には修理見積もりを取ってみなければ料金は確定しませんが、工房によってはWEB上で詳細な料金表を公開しているところもあります。

金継ぎの仕上げ料金

金継ぎの仕上げ方法はさまざまで、金を撒かずに色漆で仕上げる方法や、金ではなく銀で化粧を施すものなどバリエーション豊かです。

どの仕上げを選ぶかも、料金が変化するポイントです。
仕上げ方法によってそれぞれ違った美しさを楽しめるため、予算や好みに合わせて適したものを選んでみましょう。

金継ぎの料金を比較

金継ぎの料金は工房や会社によって異なります。
ここでは、例としてインターネットで依頼できる工房4社の料金を紹介します。

工房名修理料金目安その他オプション
金継ぎ暮らし欠け:3,500円~
割れ:5,000円~
※色漆・合金仕上げの場合
特急対応あり

ガラス製品・漆器要相談

金継ぎ工房 八木欠け:3,500円~
割れ:6,800円~
※実績を参考としています
にっぽんてならい欠け:5,500円~
割れ:6,050円~
※仕上げ代金
 
モノ・モノ欠け:3,000円~
割れ:5,000円~
ヒビ:4,000円~
※代用金粉仕上げの場合
漆器の金継ぎ対応可

破損のしかたによって大きく料金は変わってきますが、おおむね最低料金を3,000円程度に設定している工房が多い印象です。

ただし、上記の料金はあくまで目安となります。
実際に金継ぎを依頼する際は各工房に問合せのうえ、見積もりを取ってみてください。

修理料金が高くなりやすいケース

修理を依頼する際のオーダーの内容によっては、修理料金が高くなるケースもあります。
一般的に、高額になりやすい要素を紹介します。

破損箇所が大きい

金継ぎの修理料金は破損箇所のサイズが大きいほど高くなりやすいです。
例えば、大型の皿や壺が真ん中で真二つに割れているケースなどは料金が高額になる場合があります。

割れが細かい

割れが細かく破片が多いと、こちらも料金が高くなりやすいです。

破片は多ければ多いほど接合面に強度を要求され、相応に手間もかかります。
仕上げに使う金粉・銀粉の量も増えるため、これらの要素が料金に反映されます。

また、一部破片を紛失している場合や細かすぎて使えない破片がある場合、漆による肉付けが必要です。
この場合も破片がある場合と比べて高めの料金になりやすいでしょう。

ハイグレードな仕上げ方を選ぶ

グレードの高い仕上げ方法を選んだ場合も高めの料金になります。
金継ぎの工房に修繕を依頼した場合の代表的な仕上げ方法は、以下のとおりです。

  • 色漆(黒・朱)
  • 代用金粉・銀粉(真鍮・錫)
  • 金消粉
  • 銀消粉
  • 金丸粉
  • 銀丸粉

料金が高くなりやすいものの代表が、仕上げに丸粉(まるふん)を使った金撒きの仕上げです。

丸粉は消粉(けしふん)と比べて粉末の粒が大きい分、同じ量で蒔ける面積が小さいため料金は高くなりやすいです。

しかし、その分光沢が強く出るため、より高級感があり金の輝きを楽しめる仕上がりになります。
予算や希望するイメージを工房と話し合い、最適なものを選んでみましょう。

その他特殊オプションを追加する場合

その他オプションを追加した場合も料金は高くなります。

たとえば、通常納期より早く仕上げて欲しい場合は特急料金が別途必要です。

ガラスの金継ぎなど特殊な技法が必要なものも、別途追加料金の対象となることがあります。

修理を断られることはある?

器の種類や状態によっては、そもそも修理自体を引き受けてもらえないこともあります。
代表例をいくつか挙げます。

ガラス製品や木製のもの

ガラス製品や木製の器などの金継ぎ修理は断られることもあります。
これらの修理は、一般的な陶磁器の金継ぎとは異なる技法を用いる必要があるためです。

ただし、工房によって対応できるかどうかに違いがあるため、希望する場合は個別に問い合わせが必要です。

自分で修理して接着剤がついたままのもの

金継ぎを依頼する前に自分で接着剤での修繕を試み、失敗してしまった場合は修理を受け付けてもらえないことがあります。

依頼する場合は、一度自分で接着剤を剥がしてきれいに除去し、破片の状態に戻してから相談するようにしましょう。

ただし、こちらも工房によって対応は異なります。
受け付けてもらえる場合でも、接着剤除去の作業が必要となるため、納期や料金が追加される可能性はあります。

大きすぎるもの

金継ぎできる器のサイズに制限が設けられていることがあります。

例えば、今回紹介した工房のなかで「にっぽんてならい堂」の場合、縦50cm、横30cm、高さ30cm超のものは受け付けていません。

修理できる場合でも、別途見積もりとなる可能性もあります。
こちらも、まずは工房に相談してみることをおすすめします。

直火にかけて使用するもの

土鍋など火にかけて使用するものに関しては、金継ぎによる修理が適していません。
そのため修理対象外としている工房が多いです。

思い入れがありどうしても直したいのであれば、修繕後は直火で使用しないことを伝えて依頼してみることをおすすめします。

金継ぎを依頼してから完成までの納期は?

金継ぎを依頼してから完成までの納期は、早い場合でも2ヶ月程度はかかります。

「そんなにかかるの?」と思った方もいるかもしれませんね。
この修理期間の長さには、漆の乾燥にかかる期間が関係しています。

本金継ぎに使用する漆は乾燥にかかる期間が非常に長いのです。
金継ぎの作業自体に最短でも1か月かかります。

工房の混み具合によっては納期が6か月以上に設定されていることもあるため、余裕をもって依頼するようにしましょう。

なお、上記の作業工程自体の長さの都合で、特急対応をお願いしても数日や数週間で納品することはできません。
この場合は、近隣の金継ぎ教室を探して自分で修理することも視野に入れてみましょう。

料金はケースバイケース。気になったらまずは見積もりを

金継ぎの料金は、破損の種類や大きさ、仕上げの方法などによって変わってきます。
まずは工房に見積もりを依頼してみましょう。

オンラインでの無料見積もりに対応している工房も増えてきています。
金継ぎ暮らしでは、WEB上で画像をアップロードすることで概算の料金を算出できるオンライン見積もりフォームを用意しています。

金継ぎを依頼するか決めていないけれど、とりあえず料金を知りたいという場合もお気軽にご利用ください。